繋いだ手をもう一度





「ふぁぁあ。映画楽しかったね~」








2人より先に歩いてたからクルッと振り返るとそうでもなさそうな陽登としょうちゃん。


まぁ、そうですよね…あはは。









「あっ、亜子だ」




「皆遅くなってごっめーん」





手をパチンっとして謝ってくる亜子。


それに対して"いいよ"って言うしょうちゃんと"はぁ"って溜め息つく陽登。













映画も見ちゃったしどうしようかって話し合った結果ショッピングモールの中をブラブラしようってなって、前には亜子としょうちゃん、そして私の隣には陽登。







「陽登?余ったポップコーンいる?」



「ん」




1つポップコーンをつまめばポイっと陽登の口の中に入れる。


いつもの映画後のおきまりのやり取り。







「映画…違うのにすればよかったね……」



亜子がいなかったし、何か無理矢理2人に観てもらった感じになっちゃって心の片隅にモヤモヤが残ってた。



「……そんなことないよ。たまにはいーじゃん、恋愛ものも」



そんな私の気持ちを読み取って、気を遣ってくれたんだろうか。


普段なら見たくないって絶対断られる恋愛映画。


なんでだろう。







「今度はっ、今度は陽登の観たい映画にしようね」




「うん、ありがと」





そう言って、くしゃっと笑う陽登の笑顔が1番好き。



この笑顔を私は15年見てきたけど毎回毎回初めて見るかのような感覚で、どんどん好きって気持ちも増していく。





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