見合い相手は、変貌を遂げた御曹司
また深く覚頭を下げ、社長室を出た。
母親の兄である、神崎努(かみさき つとむ)
母親とは歳も離れていることもあり、還暦は過ぎている。
未だに第一線でバリバリと奮闘している。
男の見る目のない母親が、駆け落ち同然で神崎を出ていき、終いには離婚した。
食べ盛りの自分を心配し、快く神崎に引き取ってくれた。
子供もいないこともあり、父親のように育ててくれた。
自分自信も、叔父の様になりたいと今でも憧れる存在だ。
仕事には厳しく、並大抵の努力では追いつけなかった。決して甘やかさないが、黙って見守ってくれた。
だからこそ、頑張れた。
神崎に恩を返したい。