好きになっちゃ、ダメなんだ。

慌てるような雅ちゃんの声を最後に私はぎゅっと固く目を閉じた。




「……」


だけど、いつまで立っても体に痛みが走らない。



恐る恐る、ゆっくりと目を開ける。




その瞬間、後ろから誰かに支えられているということに気づいた。




その瞬間、体中の血の気が引く。



大きい背中、大きな手、高い身長。



間違いない。今、私に触れているのは男の人だ。

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