好きになっちゃ、ダメなんだ。


「……さん? 紺野さん?」



「へっ?」




横から聞こえた一ノ瀬くんの声で我に返る。




「ご、ご、ごめん……なに?」


「その段ボール、何が入ってるの?」



一ノ瀬くんは、私が持つ段ボール箱を指差す。



「あ、こ、コレ? 新しい教科書、届いたの。」



「あ、そうなんだ。」



「うん。あの……教科書……見せてくれてありがとね。」




「うん、どういたしまして。……ってかそれ、俺が持つよ?」




「い、いやいいよいいよ! これ、結構重いし。」





こんなもの、一ノ瀬くんに持たせるワケにいかない。


そう思って言ったのに……
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