好きになっちゃ、ダメなんだ。
「あれ? 雫?」
正面から自分を呼ぶ声が聞こえ、視線を少し落とす。
するとそこには、白いビニール袋を片手にパーカー姿の雅ちゃんが立っていた。
「あ、やっぱり雫だ。」
ビニール袋を揺らしながら、雅ちゃんが私に近づいてくる。
「雅ちゃん……。」
「何やってるの?こんなところで」
「あ、えっと………じ、時間つぶし?」
「ははっ、なんで疑問系?」
雅ちゃんが、口に手を当て軽く微笑む。
それと同時に、周りの草村から数匹の虫のなく声が聞こえてきた。