好きになっちゃ、ダメなんだ。
「あ、あり……がとう」
それに気づいた私は、一ノ瀬くんに聞こえたか聞こえなかったかぐらいの声でお礼をいう。
しかし、その声は一ノ瀬くんに届いていたようで「どういたしまして」と彼は微笑んだ。
慣れない男の子との会話のせいか、鼓動がうるさいくらいにバクバク言っている。
隣に座っている一ノ瀬くんにも聞こえるんじゃないかってぐらい。
するとなぜかいきなり、一ノ瀬くんが私の顔をのぞき込んできた。