好きになっちゃ、ダメなんだ。
そう自分に言い聞かせるけど、



一ノ瀬くんが"男"というだけであの人と関連付けてしまう。




「紺野さん、もうちょっと顔上げてくれない?」



「あ………ご、ごめん…」



一ノ瀬くんの言葉に我に返り、自分がうつむいていたことに気がつく。




いけない、いけない……



今は美術の時間。


一ノ瀬くんに迷惑をかけてはいけない。



私は顔と共にゆっくりと視線を上げた。
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