好きになっちゃ、ダメなんだ。
そう言って一ノ瀬くんは、いつもなら私の机と彼の机の
境目に置くはずの教科書を私の机に置いた。
そして、くっつけていた自分の机を私の机から少し離す。
「えっ………これじゃあ一ノ瀬くんが…」
教科書見えない……
「紺野さん、こっちの方が授業に集中できるでしょ?」
そう言って彼は、微笑む。
その言葉と、笑みに一瞬胸が高まる。
なんで、一ノ瀬くんはこんなに優しいんだろう。
……って、それはさすがに彼に悪い。
教科書を見せてもらう上に、ここまでしてもらうなんて。