キミのビートにのせて。


『私…夢でも見てるのかな…』



ぽつりと呟く。だって私は未だに「今」が信じられていなかったから。



その瞬間、Shunは私の左肩に ぽんっと彼の右手を置いた。




その瞬間、私の肩はぴくっと小さく跳ね上がる。



彼は私の目をまっすぐ見て言った。




「夢じゃないぜ。試しに自分の頬つねってみな??痛てぇから。それより何より、俺は澪ちゃんが助かって本当に良かった…。なんてったって、俺の大事なファンの子だからな。」



最後にふっと微笑んだShun。



けど…私の心の中が少しだけ曇ったのは気のせいじゃない…。
今、Shun、私のことを『ファンの子』って…




そりゃそうだよね。『Shunにとってファン以上の何か』を少しでも期待した私はバカだ。



…そんなワケない。そんなワケ…。分かっていても、悲しくて───



もしかして私にとって彼は、憧れの大好きなアーティスト『Shun』じゃなくて、本当に好きな人『春人』に変わってしまったのかもしれない…。




「どうした?さっきからぼーっとして。…ふふっ、バカだなぁ澪ちゃんは。まぁ、そーゆー所も可愛いけど。」



…かと思えばそんな嬉しくなっちゃうようなこと言うんだから。




自分のキモチが分からなくなるじゃん、、

< 22 / 32 >

この作品をシェア

pagetop