キミのビートにのせて。
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「今日は来てくれてありがとうなーー!!!これからもProloguEをよろしく!!」




どれ位時間が経っただろうか。楽しすぎてあんまり覚えていない。




ボーカルのこの一言で、幸せだったLIVEの時間は幕を閉じた。





『あーあ。楽しかったなぁ…凄くあっという間。。』




楽しいことが終わった後のあの切ない感じ…いわゆる名残り惜しさを感じながらも会場を後にすると、私は帰路についた。



居酒屋の呼び込みやらなんやらで騒がしい往来を、未だ余韻冷めやらぬ顔で歩いていると、携帯が鳴った。見ると、バイト先の同僚の夏夜からだった。




"澪!ごめんね、明日のバイト、急用が入っちゃったからシフト入れ替えてほしいの。出来るかなぁ?無理言っちゃってホントに申し訳ない…汗"



と、夏夜らしい文体で書かれていた。



私は都内のシルバーアクセサリー店でバイトをしている。夏夜はそこで一緒に働いている私のいちばんの友達。バイトは大学の勉強もあるから大変だけど、こうでもしないと生活していけない。




立ち止まってスケジュール帳を開いてみると、明日はちょうどオフになっている。





ただ、明日もProloguEは今日と同じ場所でLIVEをするらしい。本音をいえば行きたいに決まっている。けど、、




『んー、、明日も当日券買ってLIVE行こうかと思ったけど…まあしょうがないか。夏夜の頼みだし、仕方ない。えーっと、「いいよ、シフトなら私が変わるから、安心して行っておいで」、と。これでいいや。』




そう言って私は夏夜とバイトのシフトを入れ替えることにしたのだった。
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