キミのビートにのせて。
「あ、澪ちゃん!」





接客が終わって今さっき受け取ったお金を整理していると、店の奥から店長が私の名をヒラヒラと手招きしながら呼んだ。






なにやら受話器を片手に誰かと電話していた所のようだ。





『はい!何でしょうか?』






電話している相手に聞こえてはいけないからだろうか、受話器を無言で指差し、






「しまったなぁー、、今いきなり言われて困ってるんだけど、今日の午後から接待しなきゃいけない取引先の上司が来るらしいんだ。手土産とかなーんにも買ってねぇ…」




と、本人と私にしか聞こえないであろう小声で言い、





当日のしかも昼間に言うんじゃねぇよ…とポツリと小声で呟くと、気まずそうに頭を掻いた。






確かに上司にわざわざここまで来てもらって手土産は何も無しで はいさようならという訳には流石にいかないのは私でも分かる。
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