たとえこの身が滅びようとも


時の流れは速く

卵が大きくなるにつれ
私のお腹も大きくなる

その夜はなぜか眠れず
ベッドからこっそり起きて
ソファに浅く腰をかけ
音を消してテレビを点けた。

人工的な光が部屋に広がって
パンダの出産が画面に現れる。

テレビも政府に規制されているので
刺激的な番組は少ない。
政府のニュース番組が主だけれど
たまに動物の番組も入ってる。

苦しみながらパンダは小さな小さな我が子を産んだ。

卵じゃない

卵じゃなくて大丈夫なのだろうか。
硬い殻に守られず
そのままの姿で出てくる様が
見ていて怖かった。





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