たとえこの身が滅びようとも

もうガマンできない
苦しさと闘いながら

私は隣の彼女と奇跡的に、同じタイミングで卵を産む。

卵はゆっくりと転がり
足元で止まる。

今しかない。

私はポケットから小さな玉を出し、周りを見渡す。
そして小さなボタンを押してから
人の居ない踊り場に力いっぱい放り投げる。

誰かに見られたら終わり
失敗したら終わり

投げた先の小さな玉から沢山の煙が流れる。

ノブ君の仕事道具の煙幕。

地下で悪い人達に絡まれた時
これを投げて目くらましをし
逃げる道具。

人間には無害で煙だけ。

投げる場所がなかったらあきらめようと思ったけど、丁度いい場所に誰も居ない踊り場があった。

実行できると思った。
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