たとえこの身が滅びようとも

彼女に会ったのは
私が休みの日の夕方で
空に黄昏が訪れ
昼と夜が溶けあう美しい時間。

私は木綿のワンピースを着て
しなびた野菜を買い家に帰ろうとしていたら

目の先に彼女が立っていた。

あれから百貨店にも現れず気にしていたら
心の準備もないまま目の前に現れ
思わず「あっ!」と、声を出してしまった。

丘の上に住む人達に私達から声をかけるのは、マナー違反だった。

それでも彼女は私の顔を見ると
不機嫌な顔をほろこばせ手を上げた。
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