星の降る夜、僕は君に嘘をつく。
その日の授業中。
心春ちゃんが何かを探していた。

「どうした?」

「いや、消しゴムがどっか行っちゃって…」

そう言いながら机の下を覗く。

「じゃ、俺の使っていいよ。」

俺は机の上にある消ゴムを差し出す。

「いや、いいよ。
桐島君が使うのなくなっちゃうから。」

そう言って俺の元に戻す。
俺はまた差し出そうと消ゴムに手を伸ばす。

けれどそこにはまだ心春ちゃんの手があった。
そのまま手を握ってしまった。

「ご、ごめん。」

そう言って彼女は手を引っ込めようとするが、俺は無意識に手を握る力を強くしてしまった。

「え?」

彼女の驚く声を聞いて、もう後戻り出来ないことに気づいた。

「ねぇ、俺のこと見てよ。」

俺は本格的に彼女にアプローチすると決めた。

彼女は顔を上げた。
その顔は少し赤くなっていた。
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