星の降る夜、僕は君に嘘をつく。
「わかった、辞める。
けれど今年だけは、引退するまではやる。」

俺の真剣な目を見てか、親父はそのことを了承した。

これで同輩以外の部活の仲間は形上、なくなった。
心春とは付き合っていけるはずだ。

俺は自分の部屋の窓辺の椅子に座る。

悲しくないと言ったら嘘になる。

小学校の頃、あんだけ努力して入った学校、部活に選んだダンス。
あの時は消去法で選んだが、今では俺には欠かせないもの。
最高の先輩、同輩、後輩に出会った。
椿という最高のライバルを見つけた。

高1の春、突然現れたエースに俺は恋をした。
そしてソイツは今ではトップスターになり、俺と付き合っている大好きな彼女。

それを無くすのなんて嫌だ。
だけどこれも宿命。避けようがない。

「悲しく…ない。」

俺はそう自分に嘘をつく。

冷たい冬空に流れ星が光った。
< 180 / 253 >

この作品をシェア

pagetop