星の降る夜、僕は君に嘘をつく。
初めて会ったときの話だ。

「これから心春のお母さんになる人だ。」

8年前、そう言ってお父さんが紹介したのは当時29歳の櫻さん。

突然現れた若い女性を母だと思え、なんて当時6歳だった私にはできなかった。

「心春ちゃん、櫻です。よろしくね。

ムリにお母さんって呼ばなくていいよ?
少しずつ仲良くなれたらいいな。」

そう優しく言ってくれたのが嬉しかった。

何より嬉しかったのは私の髪と目、そして血筋を悪く言わないでくれたことだった。

そんな櫻さんと仲良くなるのには時間はかからなかった。

私はすぐに櫻さんが大好きになった。

大好きな櫻さんが時々凄く悲しそうな顔をするのはすぐに気づいた。

私がどうしたのかと聞いてもなかなか教えてくれなかった。
< 223 / 253 >

この作品をシェア

pagetop