星の降る夜、僕は君に嘘をつく。
5年前、私が9歳の時、紅蘭と星蘭が生まれた。

それからしばらく。
私が10になった時に、櫻さんは彼女の身に起きたことを私に伝えてくれた。

桐島貴樹と櫻さんは付き合っていたが、碧兄が櫻さんの体に宿った。

それを彼に伝えたと同時に、別れを告げられたそうだ。

けれどお腹の中の子には非はない、と碧兄を産んで暮らしてきた。

そう私に言った後に、櫻さんは涙を流しながら私を抱き締めて言った。

「心春ちゃんには私と同じような道に進んでほしくない。

愛してくれる大切にしてくれる人とちゃんと愛しあってね。

でも愛することを怖がらないで。
本気で愛したい。
そう思えた人こそあなたの運命の人。

私みたいな人間にならないで。
私より強い人に育ってね。

心春ちゃんのためならば私は何も惜しまないから。」

その時、私は初めて櫻さんの涙を見た。
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