星の降る夜、僕は君に嘘をつく。
「ねえね、飲み物欲しい。」

膝の上に座っている紅蘭がそう言った。

「椿先輩、すいません。
飲み物取ってくるんでちょっとこの二人、お願いしていいですか?」

「いいよいいよ。どうぞ。」

私は話しながら紅蘭を膝から下ろす。

「何がいいですか?
麦茶か紅茶かコーヒーかしかありませんが。」

「んーじゃあアイスティーとかできる?」

椿先輩が少し宙を見つめて言う。

「わかりました。5分ぐらいお願いします。」

そう言って私は部屋を出て、キッチンへ向かった。

リビングでは櫻さんがコーヒーを飲んでいた。
テレビで録画した刑事ドラマを見る彼女の横顔にはどこか影がある。

その影の原因はきっと碧兄の父親。
なんで17年経っても、そいつは櫻さんを傷つけるのだろうか?

私がコップ4つと紙ナプキンを敷いたお皿にクッキーを広げて、お盆に乗せた。

リビングの櫻さんの横顔には消えない闇が感じられる。

「、、、、…私はお前らを許さない。」
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