今の私は一週間前のあなた
「あ、いのちゃん…」
私を見つめる瞳は昔のように優しいものに変わっていた
「…忘れなくていいんです。
寧ろ、絶対に忘れちゃダメなんです。
…忘れないために、私たちは幸せになるんです
笑うんです
幸せな時に思い出して、記憶の中の修也と笑えばいい。
それがきっと、修也にとって嬉しい事だから…。
前に、進みましょう
…修也が望む未来のために」
コクリと頷く修也のお母さんの手を私は離すことはなかった
すると、
ガバッと急に何かが私に覆いかぶさった
「…お母さん!?!?」
驚く私を抱きしめながらお母さんは震える声で私の名を呼んだ
「…藍乃」
お母さんの頬を伝う涙が服に染み渡る感覚を感じ
暖かい心地に覆われる
すると、お父さんも私に覆いかぶさるお母さんと纏めて私を抱きしめた
「…お父さん」
回された腕に片手を触れ
流れるままの涙を拭おうとはしなかった
抱きしめられる暖かさを感じながら
私はそっと目を閉じた