今の私は一週間前のあなた
〜〜

修也のお母さんが帰った後
リビングにて3人で顔を合わせ沈黙しているこの時間


私は誰も何も語らないことに不快感と「これ、なんか意味あるの?」という気持ちでいっぱいだった




「…藍乃。ごめんね」




やっと言葉が出て来たかと思えば
…重い

「…なにが?」

まっすぐに見つめればお母さんは目線を逸らして俯いた



「私が、守ってあげるべきだった。
どんな時でも“娘は悪くない”と庇ってやるべきだった」




きっと、殴られた時のことを言っているのだと思い私はため息をついた


「…私、あの時は辛かった。

みんなが私を軽蔑した目で見たから。

…それでも、仕方ないと思った

諦めてた



でも…




私はもう、そんなのどうでもよくなっちゃった。」




どうでもよくなった
なんて
口では言うけど。



本当は
恥ずかしくて本音は言えなかったのだ



お母さんの「ごめんね」に愛情がある事に今やっと気付いたこと。





愛されていないと
思ってしまっていたことが、

あまりにも馬鹿で
子どもだったから。




にへっと笑えば
きょとんとした顔が私を覗いた


「お母さんとお父さんが大切だって気づいたんだ」


修也だけじゃない
大切な人だから



死ぬまで…、
そばにいておきたいと思った


また、笑い合える日が来ることを祈って
あの時、ずっと閉じっぱなしだった扉を開けたのだから





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