今の私は一週間前のあなた



鏡時計の時間はやはり左回りに回っていて。



それは時間の流れを告げているのか
元々の回り方がそうだったのか。


その原理はわからないけど
私はそのおかげで過去に戻ることができたのだと思う



鏡時計だけじゃなくて、他にも何かあったのかもしれないけれど。


とにかく
私にとっては乃々に買ってもらったプレゼントだから
何よりも大切なのには変わりない



偶然にもあの日乃々が来ていた服装で

「年明けだからー」と、「友達も来るからー」と、化粧をした顔で。




私は乃々のヒールを履いて
口紅をもう一度塗り直した






…そして。



自宅のインターホンに手をかける



ピーンポーン



高い音が鳴り響いて

ドキドキする心臓をどうにかこらえながら



扉の影からひっそりとのぞいたもうひとりの“私”に


私は微笑んだ








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