今の私は一週間前のあなた

「よし。」

目の前のもう1人の“私”がパチンと手を叩き
微笑んだ

「じゃあ…遊園地に行こう」

「…はぁ?!」

突拍子も無い事を言われ戸惑っていると勝手にクローゼットの扉が開かれる

「えっ、ちょ」

「今はパーカーを着てるけど
彼氏が生きてた頃はきっと人並みにオシャレしてたはず。
服も…ほら
結構可愛いのがあるじゃん」

もう1人の“私”の手の中には簡素なスカートとボーダー柄の肩口にフリルのついた服

合わせ方は結構良い。


「…なんで、遊園地?」


私が問うともう1人の“私”が笑った

「私が行きたいからに決まってるじゃん」

なんて、自分勝手な…
まぁ、良い

幸いクリスマス後でイベントはあるけど人は少ないだろう

学校の友達に合わないか心配だけど
今更顔を合わせらんないからね


「この辺で遊園地って言ったら
…あそこだね」

指さされた遊園地は昔私たちの遊び場だったところ

小さくて人気があるわけじゃないけど
あそこのジェットコースターと観覧車が大好きで
小さい頃は修也の家族と私の家族でよく遊びに行っていた


「服は…私のはそれで良いけど
あなたはどうするの?」

もう1人の“私”が手に持つ服を取り
聞くともう1人の“私”は微笑んだ


「服、貸して」
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