今の私は一週間前のあなた

「えー…まぁ、いいけどさ」

もう1人の“私”は適当にクローゼットを漁って服を取り出す

昨日の夜いつのまにか化粧をとっていたらしく
やはりその顔は私と同じだと思う

「顔、洗っておいで」

時計を見ると9時ちょっと過ぎ
親はもう仕事に出かけてる時間だ

「もう1人の“私”は?」

扉に手をかけて振り返る

「私は服着替えてからいくよ」
「わかった」

脱衣所に立って鏡を覗く
鏡の中の“私”は何だか子どもで幼い

今、私の部屋にいるもう1人の“私”は
何故だか余裕があって
オトナっぽくて
優しい微笑みをする

そして

強い




私ももう1人の“私”みたいに強くなりたい




…あと一週間しかないけど。


水を流し手の中に包む
じわりと熱を持った手が冷えていく感覚がする


朝、いつも起きるのは昼を過ぎてから
顔なんて洗いにきたのは久しぶり


お風呂にはシャワーだけ入って湯船には浸からない

親が入った後の湯船なんて吐き気がする


親も…
湯船の湯を自分達が入ったらすぐに抜くし。


つまり、
冷たい水に触れるのは久しぶりで

心地がいい



顔に手で包んだ水をパシャりとかける
頬もじわりと冷えていく

気持ちがいい


タオルを手にとって
目を閉じたまま顔をふく



鏡に目を写した瞬間ー…




後ろに真顔の“私”が立っていた
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