今の私は一週間前のあなた





〜〜〜

「…ほんと、懐かしいなぁ」


薄く黄ばんで消え去りそうだった幸せな記憶

それでもあの時は
この幸せは続くと思っていたし
無限なのだと信じていた

約束は果たされてこれからもずっと隣で笑い合って生きていくのだと確信すらしていた

離れることを考えた方が少なかった



ポロポロと涙が落ちていく



私は項垂れるように壁にもたれかかって俯いた

涙を拭き取ったりはしない
涙と一緒に
せっかく思い出した記憶さえも拭い取ってしまう気がしたから




高2の11月

幸せな記憶を包みこむように

真っ黒い現実は襲いかかっていった

それは…
津波のように
ありえないほど唐突に

過去の約束と
これから思い描いていた未来
周りの人

全てを飲み込んで

連れ去って


もう私には返してくれない


涙を零して思い出した所で帰って来るわけではないのに
泣きたくない時も感情は止まらず
涙は溢れるばかりだった


「…頂上だよ」


乃々が呟いて顔を上げると
あの頃と変わらないオレンジ色が私を包む

やっぱり

それは綺麗なオレンジ色
あまりの
美しさに私はそっと微笑んだ







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