今の私は一週間前のあなた
「ほーら、藍乃。起きろよ
学校だろ?」
ゆさゆさと揺さぶられ
「んー」と唸りながら布団を深くかぶる
「コラ、寝るんじゃねぇ」
ペシッと叩かれて私は渋々体を起こした
「…え…学校…?」
首をかしげる私に彼が笑う
学校は修也が死んでから行けなくなった
それに、行ったところで冬休みの今は誰もいない
授業なんてあるはずもない
「まだ寝ぼけてんのかよ。早く目ぇ覚ませよー。あ、キスして起こそうか?」
はははっと聞き覚えがある笑い声が響いて私は勢いよく体を起こした
目の前に
彼が…
「しゅ…や…?」
布団を体から下ろし彼の手に触れる
触れる
あたたかい
…ほんもの…?
「しゅう…や」
「なんだよ、急に」
ポンっと頭に触れられて
その笑顔をうけとめるように
私は彼をだきしめた
胸がぎゅーっと苦しくなって目頭が熱くなる
「修也…
生きてるの…?」
涙が溢れて止まることを知らない
「当たり前だろ、まだ夢見てんの?」
修也の笑顔が私を包む
そっか…
全部夢だったんだ
修也が死んだことも
家族や友達と話さなくなることも
もう1人の“私”がやってくることも
「よかっ…」
ジリリリリリリリリリリリリリリリリリ
大きな音が響き渡りそれと同時に
修也の顔が歪む
待って
行かないで
「修也ぁ!!」
はぁっ!
息が切れて嫌な汗がぽたりと落ちる
「…藍…?」
キョトンとした顔でもう1人の“私”、乃々が
私を見つめる
「…夢…」