今の私は一週間前のあなた
「…乃々…?」
ひきつる私の顔を乃々の右手が頬を滑る
「あーあ。ばらしちゃーった。」
その表情は妖艶で、美しい
私とは違う顔に見えた
いつの間にかリップグロスを塗っていたらしく真紅の唇が柔らかい弧を描く
「ひとりじゃない?乃々がいる?
ふっ、あはははっ!」
乃々は微笑みだけでは堪えきれずお腹を抱えて笑う
「ほーんと。馬鹿」
冷たい否定の言葉が私を貫く
どういう、こと?
目を見開いて理解できずに座り込んでいる私を置いて乃々がくるりと回る
私のスカートが円を描く
「あんまり簡単に騙されてくれちゃうから。バラしちゃった」
まるでイタズラを仕掛けたような無邪気な表情
幼く見えるのに大人で近づけない
声が喉に詰まって出てこない
「…『私は何か』教えてあげる」
どくんと心臓が大きく音を立てた
乃々は身軽にそこにあった机に腰を乗り上げ足を組む
太ももが露わになってその華奢な足に目を囚われる
「私はあなた。3日後のあなた、だよ」