今の私は一週間前のあなた


私は乃々のことで頭がいっぱいになりつつも
早急に準備を整えて部屋を出た


もうすでに家の中に両親の気配はない


鍵をかけて扉を閉めて
そこで、
ひとりで家の外を出たのは1ヶ月ぶりだと気がついた


こんなにもきちんとおしゃれをして…



まるで修也が生きていた頃みたいに。




ヒラリと舞ういつもより少し長いスカートは脚を細く見せてくれる
セーターはモフモフで柔らかく
首元に巻くマフラーと似たような感じ。

手持ちのカバンの中には
財布と携帯と
修也にもらったネックレス
乃々にもらった懐中時計が入っている

懐中時計のギリシャ数字の時間の見方を調べておかないといけないなぁと思いつついつも忘れてしまう

回る方向は右まわり

時間通りに回っているから不便はしない



あまり時間を気にしない私が持っているのには少し違和感があるけど
アンティークっぽい柄と長めのチェーンが
可愛くて見ればついにやけてしまう


時計を見れば8時半。
愛妃ちゃんとの待ち合わせは9時。

学校までは徒歩20分でつくから少し早くつくくらいで問題はない



私はカバンを肩にかけて歩き出した



雨が降りそうな雲だった
白い息が漏れて寒いことに気がつく



…あのころは寒さなんて感じなかったけど

なんて修也のことを思い出しかけてやめた



愛妃ちゃんと会うんだから
笑わないと



修也のことを思い出したら
幸せに口元が緩んで
悲しさで涙が頬を伝うから…。



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