今の私は一週間前のあなた
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愛妃ちゃんと私は周りなんて気にせず
ただ泣いた
強く、強く抱きしめあって泣いた
泣きじゃくって叫びまくる私たちの隣で
進が優しく笑んで
隣にいてくれた
高校の側にあるベンチに腰を落とした
私たちだったけど
泣き疲れた愛妃ちゃんは進の肩にもたれかかりながら
すやすやと寝息を立てていた
自然と
進と懐かしく2人きりで会話を交わすことになった
自販機で買った水を何口か飲んで
ペットボトルのキャップを閉めたタイミングで進が呟いた
「…愛妃は、お前がいない学校で最近やっとクラスで話せる女子ができたと言っていたよ」
目を細めて思い出すかのような進の横顔をただただ私は見つめた
進にとって
愛妃ちゃんは守るべき彼女だと
2人が付き合いだした直後に聞いた言葉を自然と思い出してしまった
その言葉を進に聞いた日
大げんかをしたらしいあの時の2人の関係も
クラスの状況も
愛妃ちゃんにとっては最悪な状態だったかもしれない
高校一年の11月に仲良くなり始めた私と愛妃ちゃん
それまでの数年間
愛妃ちゃんは、ずっと1人で…?
考えるだけでゾッとしてしまう
ただ変な噂が流れて
友達もできず
ひとりで抱え込んで
ふと、愛妃ちゃんの涙と、笑顔を思い出した
無理した笑顔より
私は本気でぶつかってきてくれた愛妃ちゃんの涙を愛おしいと思った
そんな、愛妃ちゃんの事をわかってくれる人が出来たのか
と安心する
「…そっか」
私はそれ以外何も言わなかった
他にも声をかけようと思えばできたかもしれないけど
愛妃ちゃんには進がいるから
きっと前に進んでいける
進が側にいるから