今の私は一週間前のあなた
落ちたネックレスの引き輪を開けて首に巻き
プレートの穴に通した。
レオン型のチェーンがかすかに冷えていて首元に金属の当たる違和感を感じる
それでも鏡を見ればキラキラした宝石が輝いていてあまりの美しさに私には似合わないなぁと思ってしまう
それでもその美しさに目を奪われてしまうのは
きっと修也の想いがこもっているから。
こんなネックレスを男ひとりで宝石店に入って買ったのかなぁと想像したらふふっと笑みが溢れた
たとえば、
頭を抱えながら「どれがいいかなぁ」と呟く姿が目に浮かぶ
たとえば、
「いつ渡そう!」と嬉々として笑っている顔が目に浮かぶ
…修也は
私以上に私を愛してくれた。
弱くて馬鹿な私を認めてくれた。
私もまた、
そんな修也を愛していた。
私は一息、大きく深呼吸をして
目を大きく見開いた
決意を決めるために。
〜
時計を見れば午前8時と30分。
トントン、と扉を叩く音がする
「藍乃…?
そろそろ出てきて…?
藍乃の顔が見たいわ……」
声の相手は私のお母さん
「…藍乃。修也くんはお前にこんな姿になってほしくないと思うぞ」
私は一度深く深呼吸した
もう1つ低い声は私を緊張させる材料に最適だった
私はぎゅっと心臓の近くにあるネックレスのモチーフ部分を握りしめる
「…出てき」
「お母さん。お父さん」
お母さんの声を遮って私はガチャリと扉を開けた