今の私は一週間前のあなた


もう一度インターホンのボタンに手をかけようとした時。

ガチャリ
と玄関の扉が開いた


「…入って」

冷たい視線を向けられつつも私たちは言われた通り修也の家に入る
玄関は前と変わらず 少し甘い香りが漂っている
修也と近い香りに懐かしい心地がする

抱きしめられた感触
甘く優しい言葉

私が大好きだったもの

それがこんなにも遠くに離れていってしまって
やっとその大切さに気がついた


もっと、一緒にいれる時間を
笑い合える時を、大切にしておけば良かった


…なんて。今更後悔したって遅いけど。


「…失礼します」

部屋の中はより一層修也の気配が強くて


なんだか泣きそうになる
泣いちゃだめだ
泣いちゃだめだ

そう言い聞かせて握り拳を作りぎゅっと力強く握った



修也のお母さんが通してくれたのはリビングの隣にある和室で
その正面にはわかりやすく仏壇が飾られている
沢山のお供え物と写真が目に映り
線香の香りが鼻の奥を擽る


昔は仲の良かったお母さんと修也のお母さんも他人行儀で
お父さんはずっと俯いていた


この4人の中で下を向かなかったのはきっと

私だけ。



絶対に目を背けたくないと思った

絶対に修也から目を離したくないと思った



仏壇の前にある座布団に腰を下ろすと両手を合わせて目を閉じる

修也

修也



私は前に進みたい

私は、
修也に会いたい


私は、最後まで生き抜きたい


修也がいなくなった時みたいに後悔はしたくない




だから……

力を貸してくれる?
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