リンカーンはアメリカンコーヒーを三杯飲む。





彼は私をおちょくっているのだろうか。それとも、試しているのだろうか。



「学校の屋上へと続く階段。あそこに『救いの館』のサイトだけがブックマークされたパソコンが置いてあった。あなたでしょ?」



「いいや。」彼は即答した。



「知らないね。そんなパソコン。それにキミの学校も知らない。」



「え?」と思わず声が漏れた。



「あなたじゃないの? だって、あなたは現にここに……。」



「それはキミがメールを送ってきたからね。」



「でも、返信をすぐに返してくれた。『今夜9時 稲荷神社にて待つ。』って。」



「あれは返信じゃないよ。自動送信でもない。投稿フォームに何か文字を打ち込んで、送信ボタンを押せば、その文字が表示されたページに飛ぶだけだ。」



彼の言っていることは嘘だ。私は思わず笑みが零れた。



「稲荷神社ってご丁寧にこの近くにある場所を待ち合わせ場所に指定してきたじゃない。それなのに、あの文字が返信じゃないって言うのは矛盾してる。」



私の指摘に、彼はうんざりといった表情を浮かべた。



「キミ、頭悪いだろ。」




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