リンカーンはアメリカンコーヒーを三杯飲む。
負けた。
サラッと負けた。
思わず両手を見る。
指を3本。仮に右手の小指から順に折ってみる。人差し指と親指しか残らない。まるで、古いロボットみたいだ。
「ナイフは持ってるよな?」
ポケットに手を入れる。バタフライナイフ。ああ、これで指を切る。
おそるおそるナイフを取り出して、刃を出し、指にあてがう。左手で持ったナイフが震える。
怖い。怖い。怖い……。
でも、負けは負け。それも私の自業自得。
受け入れろ。受け入れろ。受け入れろ……。
……ダメだ!
ナイフを放り投げた。紗栄子の顔を見れず、ただ茫然とストレートフラッシュを眺めるしかできない。