桃色吐息
中学の三年間は、本当に色々とあった。

中一の夏から、私たちは付き合い始めて、ビトは同じ頃にアイドル事務所のタレントになった。

初めの数ヶ月は、もう毎日お互いの家を行き来したり、夏休みに一緒にサマソニに行ったり、普通のカップルみたいに遊んでいたんだけれども、ビトはどんどん人気が出てきてしまって、次第にファンの子が家の近くまで追っかけてくるようになってしまっていた。

中二の頃になると、ファンからの嫌がらせがひどくなって、面と向かってビトと別れてっていってくる子も居たり、変な手紙が送られてくることも結構あった。


そのたびにビトは、真剣にファンの子を説得して、かばってくれたりしたけれども、私たちとそんなに年も違わない十代の女の子たちには、ちゃんと理解してくれる子は少なかった。

事務所のスタッフも色々と配慮してくれたけれども、それでもそれをすり抜けてやってくるヤラカシは耐えない。

一番ファン暦の長いミキちゃんってオリキの子が、一番先に私の見方になってくれて、彼女のおかげで少しはましになってきたけれども、それでも外で堂々と遊ぶような事はできない状態ではあった。



付き合いだしたころは、ファンの子に愛想を振りまくビトがとても嫌で、泣いて抗議した事もあったけれども、それも次第に馴れてくるとどうでもよくなっていた。


そう、だんだん付き合っているのも、惰性のようで、どうでもよくなっていたんだな・・・
もう一緒にいるのが当たり前で、それこそ蓮と一緒に居るのと同じ感覚になっていた。



きっと私は、ずっとビトを嫌いにはならない。

ずっとこのまま、一緒にいるのが当たり前で、ビトもずっと私のことを好きでいてくれるんだと思っていた。




永遠なんてものは無いってことを知らなかったから。




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