桃色吐息
手を繋いで夏の夜の道を二人で歩く。
もう八月も終わるんだな・・・夜風がひんやりしてちょうどいい感じに気持ちよかった。
中野駅を通り過ぎて、高円寺駅の近くまで来ると、秀徳学園の前を通り過ぎる。
「ここ俺らの学校、知ってた?」
都心にある割には、広いグラウンドのあるその高校は、そういえば初めてきたなって思った。
「ここに毎日通ってるんだね。」
私もここに通えばよかったと、いまさら後悔してしまう。
漠然と、お母さんが行っていて、華道部があるからってだけで今の高校にしたけれど、別に蓮と同じところに行ってもよかったんだ。
でも、受験のときは、エイジ君のこと知らなかったもんな・・・
「同じ高校だったらよかったのに。」
そんな風にぼやいてしまう。
「こうやって会えてんだから、別の高校でも関係ないだろ。」
エイジ君は何時も余裕だな・・・私は離れていると余裕がなくなるよ。
だって、ビトだってすぐ近所に住んでたし、あまり会えなかったけどそれだけでもちょっと安心してたもの。
「俺は、お前が女子高でよかったなって、安心してるけどな。周りに男子いないっぽいし。」
それってこの前言ってたみたいなことかな?ライヴに連れて行きたくないってやつ。
「私、言うほどモテないよ・・・」
前はもてるよーなんて冗談で言ってしまった事もあったけど、実際ファンだっていってくれる人は居たけれど、実際付き合って欲しいってちゃんと言ってくれたのはビトだけだ。
「無自覚なのムカつくな。」
エイジ君は、笑って私の頭をいつものようにくしゃっと撫でた。
「お前見てると、男は誰でもほって置けなくなるよきっと。一瞬で惚れさせるなんかあるもん。
やっぱ蓮と双子なんだなって思う、あいつもそうだ。周りの女子みんなと仲良くなってる。」
「蓮はモテるよね、あの子は誰にも壁を作らないから。人の懐に入るのがうまいっていうか。」
私はそういうの苦手だな・・・じっと様子を伺って、色々考えすぎちゃうところがある。
そんなことを話しているうちに、すぐエイジ君の住むマンションについてしまった。
「ただいま。」
エイジ君がドアを開けると、この前とは違って明るい電気がついている。
温かい家庭のにおいがする。ああ、ミチルさんがいるんだなって思った。
「お帰り~ 桃ちゃんもいらっしゃい!」
楽しそうにそう出迎えてくれて、「お邪魔します。」と頭を下げてから、靴を脱いでそろえた。
「そんなにかしこまらなくて大丈夫よ~ ご飯はテッちゃんとこで食べてきたんでしょ?」
ミチルさんも状況をよく知っていたのか、「お茶でも入れるね」といって、私をリビングへ招き入れてくれた。
「エイジ、けりつけてきたの?」
小さい声で母親にそういわれて、「ああちゃんと別れてきた」とエイジ君は即答していた。
何だか緊張する。
この前はいきなり来てあんなことになって、すっかり全部終わった後、ちょっと挨拶した程度で帰っちゃったしな。
ミチルさんの入れてくれたお茶は、カモミールベースのハーブティで、私が何時も飲んでいるのと似ているなって思った。
まだ暑い時期だけれども、そのお茶の温かさは、何だか心にしみいるようで、ああ私はここに居ていいんだなと思った。
さっきまでは、エイジ君がリンダさんのところに戻ってしまったらどうしようかと、不安で押しつぶされそうだったのに。
もう八月も終わるんだな・・・夜風がひんやりしてちょうどいい感じに気持ちよかった。
中野駅を通り過ぎて、高円寺駅の近くまで来ると、秀徳学園の前を通り過ぎる。
「ここ俺らの学校、知ってた?」
都心にある割には、広いグラウンドのあるその高校は、そういえば初めてきたなって思った。
「ここに毎日通ってるんだね。」
私もここに通えばよかったと、いまさら後悔してしまう。
漠然と、お母さんが行っていて、華道部があるからってだけで今の高校にしたけれど、別に蓮と同じところに行ってもよかったんだ。
でも、受験のときは、エイジ君のこと知らなかったもんな・・・
「同じ高校だったらよかったのに。」
そんな風にぼやいてしまう。
「こうやって会えてんだから、別の高校でも関係ないだろ。」
エイジ君は何時も余裕だな・・・私は離れていると余裕がなくなるよ。
だって、ビトだってすぐ近所に住んでたし、あまり会えなかったけどそれだけでもちょっと安心してたもの。
「俺は、お前が女子高でよかったなって、安心してるけどな。周りに男子いないっぽいし。」
それってこの前言ってたみたいなことかな?ライヴに連れて行きたくないってやつ。
「私、言うほどモテないよ・・・」
前はもてるよーなんて冗談で言ってしまった事もあったけど、実際ファンだっていってくれる人は居たけれど、実際付き合って欲しいってちゃんと言ってくれたのはビトだけだ。
「無自覚なのムカつくな。」
エイジ君は、笑って私の頭をいつものようにくしゃっと撫でた。
「お前見てると、男は誰でもほって置けなくなるよきっと。一瞬で惚れさせるなんかあるもん。
やっぱ蓮と双子なんだなって思う、あいつもそうだ。周りの女子みんなと仲良くなってる。」
「蓮はモテるよね、あの子は誰にも壁を作らないから。人の懐に入るのがうまいっていうか。」
私はそういうの苦手だな・・・じっと様子を伺って、色々考えすぎちゃうところがある。
そんなことを話しているうちに、すぐエイジ君の住むマンションについてしまった。
「ただいま。」
エイジ君がドアを開けると、この前とは違って明るい電気がついている。
温かい家庭のにおいがする。ああ、ミチルさんがいるんだなって思った。
「お帰り~ 桃ちゃんもいらっしゃい!」
楽しそうにそう出迎えてくれて、「お邪魔します。」と頭を下げてから、靴を脱いでそろえた。
「そんなにかしこまらなくて大丈夫よ~ ご飯はテッちゃんとこで食べてきたんでしょ?」
ミチルさんも状況をよく知っていたのか、「お茶でも入れるね」といって、私をリビングへ招き入れてくれた。
「エイジ、けりつけてきたの?」
小さい声で母親にそういわれて、「ああちゃんと別れてきた」とエイジ君は即答していた。
何だか緊張する。
この前はいきなり来てあんなことになって、すっかり全部終わった後、ちょっと挨拶した程度で帰っちゃったしな。
ミチルさんの入れてくれたお茶は、カモミールベースのハーブティで、私が何時も飲んでいるのと似ているなって思った。
まだ暑い時期だけれども、そのお茶の温かさは、何だか心にしみいるようで、ああ私はここに居ていいんだなと思った。
さっきまでは、エイジ君がリンダさんのところに戻ってしまったらどうしようかと、不安で押しつぶされそうだったのに。