桃色吐息
「私ね、こうなったらいいなってこと、結構当るんだよ。
だからなんか嬉しいなあ・・・」


そんな風に言ってくれるのは嬉しかったけど、ミチルさんもリンダさんと仲がいいんじゃなかったのかな?


エイジ君は、着替えてくると言って、自分の部屋にいってしまったので、私とミチルさんと2人きりになっていた。



「ねえ桃ちゃん、いっぱい恋をしてごらん、普通の恋ね。
いっしょに笑って怒って喧嘩して、ちゃんと好きって伝え合えれば、きっと大丈夫。
あの子にも、そういうの教えてあげて欲しいんだなあ・・・」

ミチルさんは、リビングのソファーに座って、私と同じハーブティーを飲む。
何だかやけに嬉しそうだなって思った。

私はただ「はい」と答えていた。



「桃ちゃんは、リンダと何か話せた?」

いきなりそんなことをきかれて、ああ何だか全部色々知ってるんだろうなって思う。
何も話してませんよって、答えると、「そっか」ってまたミチルさんは笑った。



エイジ君も部屋着に着替えて私の隣に座ると、淹れてあったお茶を飲んでいた。


「なに話してたの?」

何時もと違うだぼっとしたTシャツと、膝までの短パンを履いて、何だかレンと同じような格好だなって思う。
やっぱり同じ、高校生なんだよな。

「女子トークよね~エイジには内緒。」

そんな風に言うから、ろくに話してないけどなって困ってしまった。


「また余計なこと言ってんだろ。」

二人に挟まれながら、何だか緊張してしまって、親子でそんな風に話しているから、私はどうしていいかわからなくて・・・

エイジ君の指が私の指に触れると、そこから何時ものようにぎゅっと握り締めてくれる。

お母さんの前で何してんのって、ちょっとびっくりしてミチルさんを見ると、ちょうどソファーから立ち上がって飲み終わったカップを片付けているところだった。


「あ、あっちの和室に布団敷いといたから、桃ちゃん使って。
じゃあゆっくりしてってね。」

ミチルさんはそういうと、いそいそと自分の部屋に戻っていってしまった。


エイジ君、いつの間にかミチルさんに私が来るって連絡取ってたんだな。


「ふ、風呂入るか?」

えっ?いっしょに入るのって一瞬思ったけど、「先入っていいよ。」って言うから、何考えてるんだろう私はって、また頬が火照ってしまって困った。
やだな・・・エイジ君が一生懸命我慢してくれてるってのに、私の方が変な気持ちになっちゃうなんて。



勝手知ったるバスルームに行くと、あの時の事をまた思い出しちゃう。


「これ使って。」
脱衣所に、ミチルさんのっぽいTシャツとスエットを用意してくれて、タオルはここにあるからって教えてくれた。

「ありがとう、急に来ちゃってごめんね。」

私はやっとそれだけ言うと、エイジ君はそっと抱きしめてくれた。

「ちょっとだけな・・・」

かがみこんで私の唇に、触れるくらいのキスをすると、「これ以上はやばいから・・・」そういってさっさとバスルームを去っていった。


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