桃色吐息
男性モデルが一通りで終わると、今度は女性モデルのショーが始まる。

私でも知っている有名な海外セレブのモデルさんなんかもいて、本当に別世界のよう。


なんだかいまさら無性に悲しくなって、涙を隠そうとして化粧室に行こうと、荷物をエイジ君に預けて会場を離れる。


大きな鏡の前に立つと、酷く疲れた表情をした自分がうつった。



私たちは、このままでいいのかな?
このまま付き合っていけるのかな?

ビトのいうように、私は待っていてあげられるのだろうか?


さっきのミキちゃんにも以前、このまま普通に付き合っていくのは難しいんじゃないかといわれた。
ビトはこれから、アイドルグループとしてデビューも決まっているから。






涙を洗い流して、戻ろうと思ったとたん、後ろに知らない女性がぼんやりと立っているのに気付いた。




「あんた、二宮桃?」

いきなり聞かれて振り向こうとしたとたん、彼女はいきなり私の髪の毛をつかんだ。


「ビトはね、あんたのものなんかじゃないのよ、こんな髪伸ばしちゃって。」

低く冷たい声でそんなことを言われ、いきなり私の髪の毛を切り刻む。



「キャーー!!!」


私は反射的に、悲鳴を上げてそこにしゃがみこむと、どこからかエイジ君の声が聞こえた気がした。


彼女は誰か来ると思ったのか、走ってどこかに消えてしまった。



それは、中学の頃に味わったあの嫌な思いを集結したような恐怖で、振るえと涙が止まらなくなっていた。

ああダメだ、やっぱり私は自信がないよ・・・



このままビトのことを好きでいる自信が・・・
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