桃色吐息
お花だって料理だって、他の家事だって、お母さんは完璧にこなす。
たまに抜けてるところもあるけれど、そこが又人を安心させるようで人気があるのわかる気がする。

私はそういうところだめだなぁ…


みんなの分のお茶を淹れて居間に戻る





「だから、君は特別なんだよ。」

べべさんがエイジ君にそんなことを言っていたのが聞こえた。


「なんか、あんたといると調子が狂う。」

そんな風に言い返している彼をみて、何を話してたのかなって気になったけど、


「なに?どうかしたの?」

そう聞こうとしたら、いきなりカズ叔父さん達がやって来て、すっかり大人の宴会が始まってしまった…




私はお母さんの仕事が終わるまで、叔父さんたちにビールを出してあげたり、簡単な食べ物を作ってもっていってあげる。いつものように。

エイジ君も調子にのって、前みたいに一緒に飲んでるから、なんだか一緒に居づらい…



「桃ちゃん手伝うよ。」

べべさんがそう言って、私の隣で適当に野菜を切って知らない料理を作ってくれていた。



「なんかごめんね、ビトの事。ずっと辛いのに、あの子に付き合ってくれてたんでしょう。」

ああやっぱり、この人はわかってるんだなぁ。
涙が潤んできたのは、隣で玉ねぎを切っていたからだけじゃない。


「ビトは大丈夫かなぁ…」

あんな風に別れて、これから大丈夫かな? ビトは意外と気が弱いところがあるから。


「大丈夫よ、私の子だもの。大丈夫じゃなくても、それを乗り越えてもらわないとね。だから安心して、桃ちゃんも彼と付き合えばいいよ。」

やっぱり勘違いしてる、別にエイジ君は彼氏でもなんでもないのに。


「昨日ビトと別れたばかりですよ。それにエイジ君はそういうのじゃないですから、ただの蓮の友達ですから。」

私は慌てて否定はしたんだけど、べべさんは笑いながら「でも好きなんでしょう?」なんて言ってくる。


私はそれ以上突っ込めなくて、素直に頷いてしまった。
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