桃色吐息
お母さんが仕事が終わりキッチンに来ると、べべさんは又みんなの宴会の輪に戻っていった。

「ちょうどエイジ君も来てくれたから、ミチルちゃんも呼んじゃおうかな?」

お母さんは嬉しそうに携帯を出すと、電話を掛けていた。


もしかして、彼のお母さんのことかな?
この前意気投合して飲みに行ったとか言ってたし。


彼のお母さんってどんな人なんだろう?
ちょっと想像しただけで緊張してきた。


「桃、エイジ君にお母さん来るよっていってきて。」

私は丁度無くなりそうなビールを持っていきながら、それを伝えにエイジ君のところへ向かった。



「エイジ君のお母さんが今から来るってよ。」

私はそれだけ伝えてビールをそこに置くと、又すぐキッチンに戻った。


エイジ君はそれを聞くと、「えーマジかよ。」とかちょっと嫌そうな顔をしていたけれども、実際お母さんがやってくると、ちょっと嬉しそうにしているのがなんだかおかしかった。

きっと仲がいいんだろうなあ、ぼんやりとそんな様子を見ていたら、「桃ちゃんもこっちに着て食べなよ。」なんてべべさんに言われて、なんとなく蓮の隣に座った。


なんだか落ち着かないな、やっぱり。


「桃ちゃんっていうの、蓮君の妹さん?」

ミチルさんにそんな風に聞かれて、ハイと答えると、よろしくねなんて笑ってくれた。

うちのお母さんより、15歳くらい若いって聞いてちょっとびっくりする。
学生時代にエイジ君を生んだんだってそういっていた。

お父さんはどんな感じの人なのかな?


「桃ちゃんもなんか音楽とかきくの?」

蓮ともライブで会ったと言っていたし、やっぱりそういうのが興味あるんだろうな。

「私は、モンパチとか、チャットモンチーとかよく聞きますよ。」


そういうと、私も好きだーって話を合わせてくれて、ちょっと和んだ。


「この子はさ、重くて煩いノイズ系のしか聞かないんだよね。」

エイジ君のことをさりげなく教えてくれて、なんだかちょっと嬉しかったりして、そうなんですかぁって自然に笑って話していた。

斜迎えに座るエイジ君とちょとだけ目が合う。



「あんま余計なこというなよ・・・」

気まずくなったのか、エイジ君と蓮は、また2人でさっさと二階へ退散してしまった。





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