桃色吐息
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待ち合わせの五分前、また早くついちゃったと思いながら、原宿の改札を出る。

この前は早く着き過ぎちゃったから、今回は丁度ぴったりぐらいにとか思ったんだけど、難しいなあ・・・
凄くもの欲しそうに思われてたら恥ずかしいし、遅れてきて待たせるのも嫌だったし。


そんなことを考えていたら、エイジ君はさらに10分前にはきていたらしく、逆に待たせてしまっていた。

「おせーじゃん。」

笑いながらそういわれたけど、まだ約束の時間の前だからね!

「そっちが早すぎるんでしょう?」

私も笑い返す。


結局、悩みに悩んだ結果、膝丈ぐらいの花柄のフレアースカートに、クリーム色のブラウスを着て、靴はちょっとカジュアルにコンバースの白いスニーカーをはいてきた。

エイジ君はそんな私を見て、似合ってるじゃんってまたこの前のように言ってくれる。


エイジ君の今日のTシャツは、黒の小鹿のバンビみたいなパンクっぽいプリントがされていたものだった。
ちょっと可愛いのにカッコいい・・・





ラフォーレから表参道に伸びる長い列に並んで、私たちはオープン前に待っていた。
エイジ君は待つって事が苦手みたいで、どうも落ちつかないっぽい。

私はずっと今まで待ってばかりだったもんな・・・これぐらい待つのは平気だけど。


「そういえば、蓮も今日はデートなんだって。動物園行くって言ってたよ。」

私たちの共通の話題といえば、蓮ぐらいしかなかったんで、思わずネタにさせてもらう。

「なんか童貞くさいデートだな。」

エイジ君がはっきりそんな風にいうのでおかしかった。


「私もずいぶん行ってないな、動物園。小学校の頃ね、家族四人で行ったんだよ、多摩動物園。」

うちの両親は忙しいし、お父さんは芸能人だし、あんまりみんなで外出するってことがなかったんだけど、あの時は楽しかったなあなんて思い出しながら話した。

「お前もそういうとこ、デートで行きたいの?」

いきなりそんな風に聞かれるから、一瞬えって戸惑う。
行きたいって言ったら連れて行ってくれるのかな?なんて思ってしまう。

「俺は絶対やだけど。」

バッサリそう切られて、逆に落ち込みそうになった。


「どうせなら、水族館とかの方が面白そうだなあ・・・」


ああ、私も今そう言おうとしたのにって、思ったらなんだかまた笑ってしまっていた。




私は、あなたがいればどこでもいいよ・・・




そんな風にいえればいいのだけど、まだそこまではいえない。
水族館いいよね~なんて、話を合わせるのが精一杯だ。




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