桃色吐息
「そんなのヤダよ!」

叫ぶようにいったとたん、もう涙腺が崩壊してしまって、涙が止まらなくなっていた。

なんだかみっともなくて、消えてなくなりたくて、ああこれで終わりだって思った。



ほらもう駅だもの、ここでバイバイしてさよならだよね、あのときのビトの気持ちがわかって切なくなる。


繋いでいた手を離して、私は涙を拭こうとしたんだけど、それでも止まらなくて・・・





信号が青に変わる・・・

エイジ君は何故か、私の手をもう一度とって、今度は優しく手をひいてくれた。


私はそのまま彼の手にひかれて、駅を通り越し、代々木公園の入り口の方まで歩いていたんだ。




人気のない公園のベンチで私を座らせると、ちょっと待っててといってエイジ君は近くの自販機に行ってミルクティを買ってきてくれた。



「もういい加減泣き止めよ、何がそんなに嫌なんだよ。」

目の前にしゃがみこみ、私の涙を彼の大きな手が拭ってくれる。
何なのよ、優しくしないでよ、勘違いしちゃうでしょう。


「そんなのわかんないよ。」

わかってたって言いたくないよ、ヤキモチやいてるんだよ、ただそれだけだよ、

「っていうか、いい加減気付いてよ!」


まったくわかっていない、エイジ君に向かって私は思い切っていった。


「好きだからでしょう!」



言ったとたんもうその気持ちが止まらなくなって、目の前の彼の首にすがり付いて、キスをしてしまった。

きっとびっくりしてるよね、私もこんなのびっくりだよ。

でもね、自分から誘えばいいって言ったのはあなただよ?



「ちょっと待てよ・・・」


エイジ君は真剣な顔をして、私の目をまっすぐに見つめ返してくれた。

ああやっぱりダメなのかなあと思ったのに、





「俺だって大好きだよ。」






そして今度は、エイジ君の方から深い深いキスを返してくれた。

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