桃色吐息
お風呂から出て身支度を整え、髪も乾かすと、私はキッチンを借りて料理を始めた。


エイジ君はリビングの方で、何かコンポをいじっていて知らない曲をかけてくれる。

ああその曲が、なんだかとても懐かしい。



ちょっとモンパチに似てるなーなんて考えていると、エイジ君がそばに来て、

「なんだか手際がいいな。」

そういって、後ろから腰の辺りを抱きしめてくれて、首筋にそっとキスしてくれる。



なに、もう何でそんなこと自然とするんだろうこの人はって、思わず真っ赤になって固まってしまう。



「ちょっと危ないよ」
私は包丁をもった手を止めて、振り向くと、笑ってすぐに離れてしまう。

エイジ君はずっと、いたずらっ子のように笑っていて、キッチンの隣のテーブルに座って、私を眺めている。
それだけでなんだか嬉しかった。



”ごめんなさい 神様よりも 好きです”


そんな歌詞が流れてきて、ああ今の私の気持ちだなって思った。





パスタをゆでて、ホールトマトとにんにくをオリーブオイルで炒め、塩コショウで味付けをして簡単なトマトパスタを作る。

ついでにお湯を沸かして、にんじんとキャベツを千切りにしたものとウインナーをコンソメでひと煮立ちさせて、簡単なスープも作った。


エイジ君にお皿を出してもらって盛り付けると、私たちは2人で向かい合って食事を取った。



我ながらおいしく出来たなあって思いながら食べながらエイジ君のほうを見る。

「美味いなぁ・・・また作りにこいよ。」

そういって、ずっとニコニコしてくれている。
また来て良いんだなぁって嬉しくなる。

午前中までのあの微妙な空気が嘘のようだ。
終わりよければすべてよしって感じなのかな?
< 54 / 128 >

この作品をシェア

pagetop