桃色吐息
「まあいいじゃん、夏休みなんだし、高校生だし、ラブラブカップルだよなあ・・・うらやましいなあ。」


ジュンさんは、楽しそうにそんな風に言うけど、お父さんはそうでもない。


「ああ、毎日って、お弁当持って行ってあげてるだけだから、そんなにずっと一緒なわけじゃないし、小一時間ぐらいでバイバイしちゃうし。今日はたまたまジュンさん居たから長居しちゃったけど。」


意味もなく一生懸命言い訳しちゃったりして。



「俺たちの頃ってさ、そういうの出来なかったじゃん。紅緒と会ったのは高校生の頃だったけど、ホント出会っただけで付き合ってたわけじゃなかったし、自由に付き合えるのっていいよな。」


ああそうだ、2人もビトと一緒で、トップアイドルだったんだもの、私たちがしているようなことって一切出来なかったんだろうな。

私は、それが嫌だから、絶対に芸能人にはなりたくないし、今後もそういうことにはかかわりたくないと今でも思っている。



やっと、望んでいたような恋が出来ているのかもしれないな。



「まあ、なんだ、ちゃんと付き合ってんならいいけどな・・・
もう、危ない目にあうこともないだろうしな・・・」

お父さんがあきらめたように、そういってくれてちょっと安心したけど、
「ちゅーか、あいつ自体が危ないもんな。」なんて言って笑う。



「確かにな、女慣れしてそう。」
ジュンさんまでそんなこと言う。




「あ、ジュン君いらっしゃい。」


お母さんがそろそろ夕飯の支度をしなきゃってお店の方からこっち来る。

「あ、これ桃と俺にって買ってきてくれたんだよ。」


お母さんにさっきのシャツを見せていて、一発でエイジ君のとこの店のだってわかってくれて、なるほどねって色々わかったようだった。


「あ、私も手伝う。」


お母さんと一緒にキッチンに行くと、明日はどんなお弁当を作ろうかなって考えながら、夕飯の支度を手伝った。


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