桃色吐息
早朝に目が覚めてしまって、ふと携帯が光っているのに気づいた。
メールが来ていたので開けてみるとエイジ君からで、どうしたのかな?




"眠れない…"




それだけで、他はなくて、時間はついさっきだった。


"私も目が覚めちゃった"


もう起きてようかどうしようか一瞬考えて、とりあえずトイレにいこうと部屋を出ると、丁度蓮の部屋からエイジ君が出てきて目があった。

「エイジ君もトイレ?先いっていいよ、私下ですませてくるし。」


そういって通りすぎようとしたら、腕をつかまれてあっという間に彼の腕のなかにいた。


「待ってたのに来ねーんだもん」

エイジ君はすねたようにそういう。


「ああ、さっきのお茶?お父さん持っていってくれなかった?」

そういうことじゃなくてってなんだかハッキリいってくれない。


「もう一回浴衣のお前見たかっただけ。気になって眠れなかったじゃん…」




じゃあもう見たから大丈夫かなぁ…


「ごめん、ちょっと落ち着いたから、もう寝る。おやすみ」

さっさと部屋に入ってしまうから、今度は私のほうが眠れなくなっちゃったじゃない…



あ、トイレいくの忘れてた。

用を済ませてなんとなく下に降りていくと、お母さんがもう起きていて、朝御飯の支度をしてる。


「あら、桃おはよう、なに眠れなかったの?」

相変わらす朝早いなぁ…いつ寝てるんだろう?


「なんか目が覚めちゃった。手伝う?」

そう聞くと、大丈夫だから早く着替えてきなさいって言われる。

「もう、お父さん気にしちゃって、ずっと蓮の部屋何度も偵察に行ってたわよ。」



大丈夫なのになぁ、ビトのときだってなにもしてないもん。


「みんないい子で、仲良く付き合ってて、安心したわ。
桃は、ビト君といるとき、ずっと辛そうだったものね。」


お母さんにそんな風に言われて、そういえばべべさんにも同じこと言われたって思い出した。

わたし、そんなに辛かったのかな?ビトと一緒の時は。

あのときは、それが当たり前なんだと思っていたから。


「桃が、どこにでも行ける子になって良かった。あのままずっと引きこもりだったらどうしようって思ってたのよ。エイジ君のお陰ね…」


私がうちにいることで、みんな心配してくれてたんだな。


そうだ、これからは、どんどん外に出ることにしよう。
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