桃色吐息
19
結局エイジ君は、一回家に帰ってからバイトにいくとかで、早めに蓮と一緒に帰ってしまった。

ちょっと寂しかったけど、今日は朝から一緒にいれて嬉しかったし、我慢しよう。




それより久々の女子会だ!


カオリさんとナホさんと三人で、一緒に原宿へ向かった。

まずはジャニーズショップに行きたいと言うので、付き合うことになる。


私は特に欲しいものはなかったんだけど、ビトの写真がいっぱいあって、なんだか懐かしい。

多分まだ私と付き合っていた頃の写真ばかりだ。

やっぱりいつ見ても、綺麗な顔だなぁ…



カオリさんは、隣にいっぱいある、アキラ君の写真を全部買いしていた。

コンサートとか見に行ったことあるはずなのに、アキラ君のことはとんど覚えていない。
ビトも仕事の仲間にはいっさい会わせてくれなかったしな。



買い物が終わり、私たちはそんなに有名ではないナホさんがオススメのパンケーキ屋さんに向かった。
まだブレイク前の店だから、そんなに並ばずに入れてちょっと安心。

名物は、スッゴくシンプルでふわふわのパンケーキ。
どうやって作るんだろうなぁ?
レシピには、ホエイミルクとか使ってるらしく、卵白はメレンゲにしてから加えているらしい。

うちでも試しにやってみようかな?
エイジ君食べてくれるかな?



カオリさんはさっき買った写真をずっと一枚づつ確認しながら眺めていた。

「これなんか良いわぁ…ビトもカッコ良いし。」

うっとり眺めている二人のツーショット写真は、本当にキラキラしている。

「なんだかホントに遠い人だったんだなって、今さら思いますよ。」

そう言うと、二人は、私が彼と付き合っていたってことを思い出してくれた。


「そうか、ビトと幼なじみだもんね、桃ちゃん。」

私にとっては、従兄弟みたいな感覚で、年に数回定期的に会う幼なじみで、当たり前のように好きだった。

今思い出すと、私は本当にビトに恋していたのかな?

中学に入って久しぶりにこっちに住むって言われたときは、本当にドキドキして、うれしかったのは覚えている。
でもそれは、とても仲良しなお友達が身近になるみたいな感覚だったんじゃないかしら。

エイジ君のことを好きになって、今まで感じだ事のない気持ちがいっぱい溢れてきて、ビトの時はこんな気持ちになったことはほとんどなかったなと思い返すんだ。



「でもさ、あんな大人気なアイドルと付き合ってたって、大変だったでしょう。」

ナホさんがそんな風に言ってくれるから、素直にうなづいていた。


「そうですね、いっぱいファンの人に意地悪されたし、ずっと表に出られなかったですからね。
学校とうちの往復だけで、ずっと引きこもりでしたから・・・」


それは、お父さんみたくただゲームがしたいからとかじゃなくて、やりたいこともなくずっと家に篭っていなきゃいけないのは、今思い出すとつまらなかったな・・・

あの時は、それが当たり前すぎて、きっと感覚が麻痺していたんだ。



「だから、今日は凄く嬉しいんです。
ビトと別れてから、友達とも色んな所に遊びにいけたり、こうやってスイーツ食べ歩きできたり、ホント嬉しくて・・・」


ヤダ、何だか嬉しすぎて潤んできてしまう・・・


「桃ちゃん、うちらでよかったらさ、またいつでも付き合うからね!
あ、そうだ、今度エイジ君のお父さんのお店行こうよ!この前蓮と行ったんだよ。」

カオリさんは、ほんとのお姉ちゃんみたいで、何だか優しくて大好きだ。
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