赤と青
仕込みは完ぺきだった。忘年会用にドンキで買ったアフロのかつらに、ハワイで買ったパインのアロハ。まさかこんな時に役立つとは。
よく、東南アジアの空港で見かける怪しいガイド、その格好で出迎えたら、絶対おもしろい!と思ったらもう止まらなかった。ギフトショップでもらった段ボールの裏にマジックで大きく「HARUNA!」と書く。
はるな、っていう響きが好きだ。彼女は名前で呼んでほしいというけれど、その気持ちが言葉に乗ってしまいそうで、つい「竹山」と部下だった時の呼び方をしてしまう。
考えてみれば、もう仕事の関わりはほとんど無いし、社会人の女性を名字で呼び捨てというのもいかがなものかとは思うが、それを言ったら、今の自分達の関係だってかなり”いかがなものか”ということになるだろう。
それは僕達にとってなんの違和感もない、いや、それは嘘だ。ほんのちょっとの罪悪感や背徳感は感じているけれど、お互い触れないようにしている。でも恋愛でもない。それは何となくコンセンサスになっている。そして、失いたくない。それもコンセンサスだ、と思いたい。
真冬の空港に、夏らしい白いワンピースで彼女があらわれた。ついうれしくて、オーバーアクション気味に手を振ってみたが、まるで気付かないそぶりで、小走りに出口に向かおうとしている。
「ちょ、ちょ、待って!竹山!ハル~ナ、マッテクダサイ!」
ガン無視か!焦ってキャラが崩壊しかけたが必死で立て直した。
「なに!そのかっこう!」
あれ?抱腹絶倒のはずじゃ・・
よく、東南アジアの空港で見かける怪しいガイド、その格好で出迎えたら、絶対おもしろい!と思ったらもう止まらなかった。ギフトショップでもらった段ボールの裏にマジックで大きく「HARUNA!」と書く。
はるな、っていう響きが好きだ。彼女は名前で呼んでほしいというけれど、その気持ちが言葉に乗ってしまいそうで、つい「竹山」と部下だった時の呼び方をしてしまう。
考えてみれば、もう仕事の関わりはほとんど無いし、社会人の女性を名字で呼び捨てというのもいかがなものかとは思うが、それを言ったら、今の自分達の関係だってかなり”いかがなものか”ということになるだろう。
それは僕達にとってなんの違和感もない、いや、それは嘘だ。ほんのちょっとの罪悪感や背徳感は感じているけれど、お互い触れないようにしている。でも恋愛でもない。それは何となくコンセンサスになっている。そして、失いたくない。それもコンセンサスだ、と思いたい。
真冬の空港に、夏らしい白いワンピースで彼女があらわれた。ついうれしくて、オーバーアクション気味に手を振ってみたが、まるで気付かないそぶりで、小走りに出口に向かおうとしている。
「ちょ、ちょ、待って!竹山!ハル~ナ、マッテクダサイ!」
ガン無視か!焦ってキャラが崩壊しかけたが必死で立て直した。
「なに!そのかっこう!」
あれ?抱腹絶倒のはずじゃ・・