でこぱち姫とぽっちゃり王子

ツインテールがゆらゆら揺れて、
そのたびに甘い香りがして、


だんだん声が近くなる。
可愛らしい声だ。


ぉとはちゃん

おとはちゃん

音葉ちゃん

ん。
可愛らしい…よね?


「音葉ちゃん!」

「…はっ!…」

ぱっと目を開けて、
ぼやけたモノがはっきり見えてくる。


「音葉ちゃん!
目が覚めたみたいでよかったぁ!!」


がたがたがた

お、ついに頭やられちゃったのかな。

天使?
いや、目の前にいるのは


男だ。


これは天国じゃなくて、
どうやら地獄に来てしまったようだ。


「そんな、青ざめた顔しないでよ!
よかったぁ。体育の時倒れるんだもん。
わたしびっくりしちゃって」

体育の時に…倒れる!?
このわたしが!?

でも、まずそれより

「誰?」

「あ、あぁ!言ってなかったね!!
わたしは保健委員の藤田 ゆあ!
ゅあって呼んでね♡」

綺麗なウィンクや
ウザいほど揺れるツインテールに
怒りさえ覚えた。

だ、い、た、い

名前聞いて、あーあの!
とか、ならないし!!
なるわけないだろー!!

私が猫ならその髪でとっくに爪研ぎしてる。

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