でこぱち姫とぽっちゃり王子
か、可愛いですと?
いやいや、聞き間違いだろ。
なんて都合のいい耳だ。
「そんなこと言って、
同情でも何も出てこないよー。」
『…俺、あんま素直に言えないっていうか、
言葉足りなくて。
この前だって、前髪似合ってるのに
われちゃってるよって言いたかった。』
ちょ、
ちょちょちょちょちょ!
な、なにをいまさらー…。
何言っちゃってるの。
ど、どうしよう。
居た堪れない。
なんだろう、顔が熱い。
夏じゃないのに。
それに、なんで、
ドキドキしてるの…。
おお、おちつこう。
きょうしつに、か、かえろう。
ガラガラ
『…え?』
「これ、100部コピーしたから持っていくね。
皇太くんは先に帰ってて。
じゃあ!」
『ちょ!野々さん!?』
なんか、後ろから声が聞こえるけど。
今は、なんか色々ぐるぐるしてて
訳が分からない。
落ち着かなくちゃ。
おちつかなくちゃ。
どうにかなってしまいそうだよ。
ーー・・・
バンっ
「先生!これ持ってきました!!」
「おおー、早かったな。
あ、さっき東雲が来ただろう?
この早さだと手伝ってくれたみたいだな。
やっぱり東雲にたのんでせいk」
「あの、先生…ちょっといいですか?」
ーーー・・・
授業サボってしまったー…。
なんで私は、ここにいるんだろう。
具合が悪いわけじゃない。
授業サボるなんて、
あんまりするタイプじゃない。
胸の内からほかほかと
何かが溢れ出しそうになる。
まるで胸焼けのように。
ただ…
なんだか今は 顔を見たくない
そう思ってしまった。