でこぱち姫とぽっちゃり王子
ーー・・・
「ほうほうほう、なるほどねー。
つまり、
皇太くんが気になってるってことね。」
うんうん…ん?
「…いや、違う!
そういうことじゃない!!」
「そういうことじゃないって、
顔赤くて、ドキドキして、
好きじゃないー恋じゃないー!って…
「「馬鹿なの?」」
多分私は認めたくないんだ。
皇太くんも私と同じでコンプレックスがあるのにもかかわらず、
実は心が本当に綺麗で、優しくて、
なにしろ自分自身を理解してる。
それに対して私は、
心も醜い上に、優しいわけでもない。
そして、理解…自分自身を認めてない。
それなのに、
好きって軽々しいにも程がある。
王子もどきなんて言葉は、
今の私が最も言えない言葉だ。
「なんかさ、ドタドタ聞こえない?」
「確かに…工事かな?」
確かに、廊下が騒がしいような…。
『野々さん!』
こ、ここここ
「「「皇太くん!?」」」
え!?
なんで!?
目ん玉飛び出すかと思った。
ついでに心臓も。
『さっき、先に走って行っちゃったから、
どうしたんだろって思ってたら、
保健室って聞いたから、
具合悪かったのかと思って…はぁはぁ。』
皇太くん、
めっちゃ疲れてますやん。
そんな、急がなくても…。
「あー、それなら大丈夫ー。
音葉、大したことないから。」
「うん!もー全くー!!」
なんだろ、
お二人さんともめっちゃ棒読みですやん。
笑顔だけは、輝いてるけど。
この瞬間に
私、愛されてるなぁ。
なんて浮かれてたことは絶対に言いませんけどね。