でこぱち姫とぽっちゃり王子


ーー・・・

あれから台本を配られて、もう3日経つ。
セリフ合わせはぼちぼちって感じで、
あとは、感情とか深いものがそろそろ必要となってきそうだ。


『白雪姫は!?どこにいるんだ!』


ちなみに、裕哉くんとは少しだけ仲良くなれたかもしれない。


「さすがだよ、裕哉くん!
元演劇部はやっぱ違う!!」


そう。
最近分かったことだが、
裕哉くんは元演劇部らしい。
中学校の3年間、演劇部とか…。


「じゃあ、次の所…
野々さん!!」



無理すぎる。


「お、オウジサマホントニアリガトウ。」


ど、どうしよう。
緊張しすぎる。
セリフカタコトだよね。

それに、
みんなの目が痛い…。


「野々さん…。
もうちょっとリラックスしてみて。
大丈夫だから。」

みんなの足を引っ張るわけにはいかない!
よし、要は気合いだ。
裕哉くんに見合うようにしないと!


ーー・・・


TAKE11。

もう、みんな呆れてる。
あんなに練習したはずなのに…。

もう1時間経とうとしてる。
ほとんど、私のたった何文字のセリフのために時間を使った。


「…うーん。とりあえず、明日に回すか。
今日は調子が悪かったってことでさ。」

なんか、それは、
見込みがないって言われてるみたいで…。

涙が出てきた。

「ご、ごめんなさいっ。」

ガチャッー。


「野々さん!」

監督の声が聞こえたけど、
あの場には居られない。

もう、いっぱいいっぱいだ。
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